財布が無い。
昨日まで持っていたはずの財布が無いのである。
しかも新潟から関西方面まで出てきて、昨日の夜まであった財布が無いのである。
頭が真っ白になりそうだった・・・ルビーサファイアで体力ギリギリのポケモン達とチャンピオンロードを抜けようとした時に、後ろからミツルが現れた時並に頭が真っ白になりかけた。
財布を無くして、僕がまず最初にしたことはこれだった。
・Twitterを開く
もっと他にあったんじゃね????と思いたくなってしまうが、ツイ廃の自分にとってTwitterは呼吸なので仕方がなかった。
「財布が無い」と脊髄でツイートを投稿する。
するとすぐにこんなリプライがついた。
しばらくカバンや服を漁ってみるが・・・やはりどこにも無いのだった。
こういう時に冷静な人からの冷静な諭しが凄く自分落ち着かせてくれた。とりあえず、部屋の中をくまなく探しても無いようだった。最後の記憶は、昨夜フォロワーとらーめんを食べた後、財布を取り出した時だった。らーめん屋の外に出て、フォロワーの車に乗るまで財布は持っていた。この時、チャックのついたポケットから、完全にパーカーのサイドポケットに財布を適当に突っ込んだ記憶がある。こんなのどう考えても落としている。
ひとまず、あった所から順に記憶を辿ってみることにした。
らーめん屋を出た後、フォロワーの車に乗って摩耶山の上、「掬星台」から世界三大夜景を見た。
めちゃくちゃに綺麗だった。
ここに来る道中は、車→途中からは歩きだった。正直な話、ここで落としていたとしたら完全に終わっている。山である。人通りが多いとは言え、夜景を見る時にこそ本領発揮する夜の山なんかで財布を落として、見つかる訳が無いのである。
またフォロワーの車に乗せてもらい、次はあの「涼宮ハルヒの憂鬱」の聖地となる高校の、登校する時の坂に連れて来てもらった。
カメラアプリが上等なものでは無いので、何でもないただの坂の写真になってしまったが、何だか初めて来たはずなのに見たことあるような景色だった。
前にフォロワーがここに来た時、どう見ても高校生ではない人が歩いていたので話しかけてみたら「キョンの気持ちになってみたくて・・・」と言われたらしい。オタクの鑑みたいな人である。
それにしても、ここで財布を落としたとしても完全に終わっている。高校生の往来が激しい場所である。別に高校生を疑っている訳では無いが、中に入っていた2万5000円は無くなっていると考えるべきなのかもしれない。
その後はイルミネーション等を見たりもしたが、泊まるホテルまで送ってくれて、そこに着くまで車から降りる機会は無かった。
念の為ホテルの外もホテル内に落し物が無かったかも従業員に確認してみたが、無いようだった。
部屋に戻り、マジか・・・思いながら、Twitterを開くとリプライが来ていた。
それぞれ来ていた意見を読むと、とても冷静になれて有難かった。ひとつひとつやるべき事を確認していく。
とりあえず昨日会ったフォロワーにDMを飛ばし、財布が無いか確認して貰うことにした。
ここで1つ問題が生じてくる。
帰りの乗車券は買ってあるが、関西から東京に帰るまでの特急券についてはまだ購入していなかった。
要するに今、「東京まで、乗車券として普通列車で行くことは出来ても、追加の特急券を購入しなければ新幹線で行くことが出来ない」という状態だった。東京から新潟に帰る分の特急券は買ってあった。
今から普通列車で東京まで行くと・・・7時間・・・!?これはとんでもない事である。何とかして今日中には帰りたい。
こういうリプライも来たが、これは正直いうと、乗車証明書というのを駅の係員から貰い、一旦乗車して、東京で他の人に払ってもらう方法はある。それか、今いる駅で同時に東京駅で支払いをしてくれる人と駅係員を通じてやり取りし、無賃送還してもらう事も可能だ。
しかし、この日は平日・・・東京に友達はいるけれど、仕事やらの絡みで来れるのか、そもそも連絡が取れるかも微妙な所だった。
前日会ったフォロワーからの返事も届いた。そりゃそうだ。なんてったって平日である。むしろ翌日仕事なのにおっさん2人で夜景を見てくれた事に感謝が止まらないし、財布まで失くして探してもらうのはかなりの申し訳無さがあった。
昨夜の時点でシートの上には無かったようなので、車で落としたとは正直考えづらい。だとしたら・・・例の山か、例の坂という事になる。財布に関しては完全に終わったと考えて良さそうだ。
他のフォロワーからのDMも届いていた。
そうだ、まず警察に紛失届を出しに行かないと・・・!冷静になれてめちゃくちゃありがたい!
ここでいいのかな・・・?と不安に思いながら、駅の交番に立ち寄った。
「こんにちは!どうされましたか?」
歳の近そうな(ちょっと上くらい?)のイケメン警官に挨拶される。こんにちは〜!と元気よく返しつつ、この流れで「あの・・・財布失くしたんですけど・・・」とか言うのめちゃくちゃ恥ずかしいな、と思いながら同時に口にしてしまった。めちゃ恥ずかしかった。
「あらら・・・大変でしたね。どこで落としたか覚えていますか?とりあえず紛失届を書いてもらう形になりますが・・・」
そう案内され、呼ばれた婦警さんが紛失届を持ってきてくれた。クールな印象の黒縁眼鏡の婦警さんだった。というか、この交番は2人とも顔面偏差値が高過ぎて、ドラマの撮影なのかと思ってしまうレベルだった。
クールなお姉さんに住所が新潟である事を伝え「何で?」みたいな反応をされながら(何も言ってなかったけど)、紛失届を書いて提出する事が出来た。見つかったら連絡ください、と担当の警察署?の番号のメモを頂いて、手続きを完了した。これで警察署に財布が届けられた時も連絡が来る!本当に良かった。
警察に行く前に、「このままじゃ帰れね〜😢」というようなツイートをしていたら、早くも状況を打開するリプライが届いた。
なるほど、その手もあったか・・・!と目からウロコだった。
今の新幹線予約は、購入した切符の受取コードをスクショし、受け取り手に送信すれば、そのコードを券売機で読み取る事で、受け取り手側は支払いをせずに切符を受け取ることが出来る。
ただし、JR東日本のえきねっとはJR東日本の駅の券売機のみ、JR東海のスマートEXはJR東海とJR西日本の駅のみとなっている。
今いるのはJR西日本の駅なので、EX予約である必要がある。しかし、自分が住んでるのは東日本なので、そもそもスマートEXに登録している人が周りに少ない・・・!このフォロワーに頼むのが1番早いと思った。
一応駅の係員に確認してみる。
河野太郎さんみたいな顔の駅の係員から、今の時点で手元にお金が無く、そのような方法で移動されるお客さまも複数回確認していますという回答を貰った。
ありがとう河野さん。今度はちゃんと総裁選で勝てるよう願ってます。
そして
財布を落として金が無いのに、特急券が手に入ってしまった・・・!
凄いことだなぁと本当に思う。しかもえきねっとやスマートEXでこの機能が追加されたのはつい最近の事らしい。こんな偶然ってあっていいのか。
とにかく、フォロワーには感謝しかなかった。これで新潟に帰ることが出来る・・・!
自分で財布を落としただけだが、有難いことに他のフォロワーからも心配の声が届いた。
さすがにそんな・・・!もう帰れるだけでも十分なのだけれど・・・と思ったが、これから財布なしで暫く過ごす事を考えると、この金の無さは今だけでなく、一週間くらいを見据えると不安だ・・・。
まあ、一旦実家に帰ればお金は親から借りれるけど・・・とか色々考えたものの、思い切って少し借りようかと思い、お願いした。
まさかLINE Payから20000円の送金が来るとは思っていなかった。
こんなにも優しい人達がTwitterにいたのか。Twitterやってて嫌になった事もあったけれど、今はやってて本当に良かったと思った。
必ず、2人にはお返しをしたい。
そして、ファンファンに行って麻婆豆腐を食ったのだが・・・写真はない。
・・・何ていうか、写真は撮ったつもりだったのだけれど、気が動転していたのか写真は残っておらず、運ばれてきた麻婆豆腐の前で一旦スマホを横に構えただけの謎の人になってしまった。
フォロワーから借りたお金で食べたたこ焼きも、相当美味かった。本当に感謝だ。まあ後で20000円返さなきゃいけないんだけど。
さて、財布を失くしたとなると、現金はともかく、心配なのはカード類だ。
キャッシュカード×2、クレジットカード×2である・・・利用停止手続きと、再発行手続きをした方が良いだろう。何せ山で落とした可能性があるのだから。
キャッシュカード×2については、田舎の銀行であるからか速攻繋がって手続きを済ませる事が出来た。とりあえず僕の口座から金が不正に引き出される心配は無くなった。
困ったのはクレカの方だった。全然電話が繋がらないのである。しかも2つとも。
暫くしたら1つ目のクレカは連絡が取れ、停止&再発行の手続きが出来た。もう1つの方はやはり繋がらないので、諦めて一旦新幹線に乗り込み、東京を目指した。
東京を目指す前にも、東京に目指す間にも、フォロワーが励ましや、協力してくれる旨のリプライやDMをくれた。
財布を落としただけなのに、こんなにも沢山の人に励まされ、協力してくれる旨を伝えられ、とても嬉しく思った。
東京に着いたら、まずはカード停止の連絡をしよう。そう思っていたらフォロワーがこういうものも届けてくれた。
こんなにも、「あたたかいものを」と言いつつ既にこれ自体があたたかい事ってあっていいんだろうか。本当にBIG KANSHAだ。
ありがたく頂きながら、カード会社に連絡をした。
ていうか「あたたかいものを」と言われてるのに、頭がおかしくなったのか普通に冷たいものを頼んでしまっていた。身体は普通に冷えた。
クレジットカードもキャッシュカードも全て停止の手続きが済み、新潟に帰る上越新幹線に乗り込んだ。
乗る予定だった時間の列車である2階建てのMaxとき号の運行は今年の9月30日で終了し、北陸新幹線と同じ新しい1階のみの"とき号"に既に置き変わっていた。
ここまで来れたのも、Twitterの全ての人のおかげだった。あとは既に持っていた東京から新潟までの乗車券と特急券で帰るだけ。
「ありがとう、ツイッターランド」
財布も無い癖に、僕は上越新幹線の新しい車両に足を踏み入れた。
そして・・・
様々なTwitterの人の協力で、僕は新潟駅まで帰ることが出来た!
しかも良い事はこれだけじゃない。
あの完全に終わったと思われていた財布が、フォロワーの車のシートの下から見つかった・・・!!!!
見つけて貰えたことにも感謝だし、Twitterでも感謝しつつ、心配かけた事をお詫びした。
それはそれで、色んな人が色んな反応をしてくれた。
何か・・・本当に財布を落としただけなのに、とてつもない凄いことを成し遂げた人みたいな祝われ方をした。
申し訳ないと同時に、この件に関しては本当にBIG KANSHAが止まない。
今回のこの件は、これからTwitterで困っている人がいたら力になりたいと、強く思えた出来事だった。
これまでもう10年とか、Twitterをやっていて、嫌だなとか、面倒だなと思う事も沢山あった。
顔も知らない仲の良い人とちょっとしたことで突然関係が断ち切られたり、顔も知らない人から突然暴言のDMが届いたりもした。
今もTwitterのフォロー外では、芸能人やら有名人が、何かに失敗して、何か飛び抜けて目立つような事をやって、炎上したり、好き放題言われたりしている。
僕はこの"炎上エンタメ"のようなものが、本当に好きではなく、今までTwitterで触れたことも無い。
顔も知らない会ったことも無い人であるならば、人間はこんなにも心を失い、冷たい言葉や、暴言を放ってしまうのかと、本当に恐ろしかった。
でも、今回僕を助けてくれた、励ましてくれた多くの人達は、同じように殆どが顔も知らない、会ったこともない人達だ。それらは全て、あたたかくて、輝かしくて、かけがえのない大切なものであるように感じた。
もちろん、財布を落としたのは嫌な事ではあったが、今では大切な思い出になり、フォロワーと笑いながらその時の話をする事が出来る。
炎上の時ばかり話題になるイメージのTwitter・・・さらに言えばインターネットの、この世界の片隅には、会った事の無い人にも「本当に良かったねえ」と声をかけてくれるような、誰かを燃やすのではなく、誰かの心をあたためてくれるような、そんな人達も確かにいたと、この一件を通して皆に伝わったら嬉しいと思っている。
BIG KANSHAだ👳🙏👳🙏👳
※ちなみに財布はフォロワーからちゃんと送られて手元に届き、警察署に連絡。財布を拾ってくれた人、新幹線特急券を買ってくれた人、ファンファンを食べる為に送金してくれた人に、お金+αをお返ししました。